蛾の鱗粉は何のためにある?毒性は?アレルギーを引き起こす?
蛾が群れを成して街灯に集まっている様子を見ると、ゾッとしますね。
夏の夜、
時には、部屋にまで大きな蛾が入ってきて退治することも…。
捕まえるのに失敗すると、粉のようなものをまき散らすこともありますね。
蛾の羽根には 鱗粉(りんぷん)と呼ばれるものが付着していますが、「何のためにあるのか?」「人間に対する害はないのか?」と疑問に思う人も多いです。
もしかしたら、猛毒を含むものもあるかもしれませんね。
今回は、蛾の鱗粉は何のためにあるのか、強い毒性を持っているのか、というテーマでご紹介します。
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そもそも蛾の鱗粉は何のためにある?
蛾の鱗粉は、 「体毛が変化したもの」と考えられており、蛾の一番の特徴とされています。
また、「鱗(うろこ)」という字を使っているのは、蛾の羽を拡大して見ると「魚の鱗」のように見えるからです。
蛾の羽には、ソケットの様なものが規則正しく並んでおり、1つ1つの鱗粉はそのソケットに差し込まれたような形で羽にくっついています。
この鱗粉の役割には以下のようなものがあります。
・羽に模様をつける
羽の模様は、様々な色の鱗粉が作っています。
この模様で敵を威嚇したり、オスがメスを引き寄せたりします。
・羽に撥水性を持たせる
鱗粉のおかげで、蛾の羽は水を弾くことができます。
雨が降っても平気ですし、汚れも付きにくくなっており、撥水加工された傘や雨がっぱのような役割を持っています。
・羽に香りをつける
オスのみ 発香性の鱗粉を持っている種は、メスを引き寄せて交尾を促します。
・体温を調節する
蛾が止まっている時に羽を広げているのは体温を調節するためです。
暗い色の鱗粉は太陽の熱を吸収して体を温め、明るい色の鱗粉は太陽の熱を反射して体温が上がり過ぎるのを防ぎます。
蛾の鱗粉には強い毒性があるの?
外見からはいかにも 毒性の強そうな蛾もいますね。
でも実は、日本に棲息するもののうち、毒を持つ種類はほんの僅かです。
ドクガ、チャドクガ、イラガなどでかぶれたという話を聞いたことがあると思いますが、それは「幼虫の体毛にある毒にやられた」という場合がほとんどです。
この幼虫の体毛が成虫になっても残っていて、成虫に接触することによってその毒にやられる場合があります。
また、イラガ科の幼虫のトゲにも毒がありますし、マダラガ科の体液にも毒性が認められています。
それらの毒がなんらかの理由で鱗粉に付着していると、「鱗粉に触れたからかぶれた」と思ってしまいますが、鱗粉そのものに毒があるわけではありません。
蛾の鱗粉でアレルギーを起こすことがあるの?
鱗粉自体に毒はないといっても、粒子ですから花粉やハウスダストと同じように アレルギーの原因になりえます。
粒子は直径約80μmと花粉よりも大きく、アレルギー性鼻炎を引き起こすことが多いといわれています。
病院で検査をした結果、蛾の鱗粉によるアレルギーと診断される人が実際にいます。
蛾が乱舞しているような場所に不用意に近づいたり、蛾を触ったりするようなことは、避けたほうが賢明です。
もし、皮膚や目などに症状が出てしまった場合は、速やかに病院に行きましょう。
受診する科は皮膚に症状が出た場合は 皮膚科へ、鼻水が止まらないなどの場合は 耳鼻科へ、といった具合に症状により異なります。
病院では抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)、ステロイドの入った点鼻薬などが処方されるでしょう。
抗ヒスタミン薬は眠気を催すので困る人もいますが、最近ではあまり眠くならないタイプが開発されているようです。
ステロイド系の薬を嫌う人もいますが、医師の指示に従っての短期間の使用であれば心配は要りません。
他に抗ロイコトリエン薬もありますが、これは効き目が現れるのが遅いため、花粉症の人などが予防を目的としているもので、鱗粉による辛い症状を緩和させるのは難しいようです。
その他、蛾の鱗粉で症状の出る人は、 蝶の鱗粉にも反応してしまう可能性があります。
アレルギーの有無に関わらず、蛾や蝶を不用意に触らないようにしたほうが良さそうです。
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